Classiques japonais avec furigana
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かばんらしくないかばん
鞄らしくない鞄
海野 十三
Lisez 鞄らしくない鞄 (かばんらしくないかばん) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 36 653 caractères · 73 écrans
かなり背の高い、立派な顔立の青年であって、にこやかな笑いをたたえて、小山すみれの方を見つめている。
この男の顔を見て愕いたのは帆村荘六ではなく、田鍋課長であった。
(はてな。この女たらしの男は、どこかで見たことがあるぞ)
たしかに課長の記憶の中にある男であった。しかしどこで見た男だったか、すぐにはそれを思出すことが出来なくて、課長はいらいらして来た。帆村はこの青年の顔に、何の記憶も持っていなかった。ただ、小山すみれ嬢とはおよそ反対の立派な男子で、皮肉な対照をなしていると感じたことであった。が、しかし、彼はあまりながくこの美貌の青年に見惚れていることが出来なかった。というのは、残るもう一人の人物が、彼の注意力の殆んど全部を吸取ってしまったからである。そのことは、田鍋課長にとっても亦同様であった。
(あれは赤見沢博士に相違ないが、一体どういうわけで博士はここにいるんだろうか)と帆村は不審の目をぱちくり。課長の方は(誰が赤見沢博士を病院から出したんだろうか、わが輩の許可を得もしないで……。何奴が出したか、怪しからん奴どもだ)
と、かんかんになって、頭から汗が出て来た。