Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lisez 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 960 caractères · 24 écrans

Aozora Bunko

「いま申したように近江屋の甥ですから御神事に外れるということはありません。今年は、六所さまの御物の金銅弭黄黒斑漆の梓弓を持ってお伴しているはずでございます」

「猫眼が梓弓を……」

と、ひとり言のように呟いてから、アコ長、言葉の調子を変えて、

「つかぬことをお伺いするようですが、近江屋の分家というのは、まだほかにもあるのですか」

「いいえ、分家にも親類にも黒木屋だけなんでございます」

「ははア、なるほど」

証拠

それから、半刻。

ようやく御霊遷の儀がおわると、また警蹕を合図に、お仮屋、御本殿御渡御の道すじの篝火はもちろん、全町いっせいに灯火がつけられる。今までの暗闇にひきかえ、今度はまっ昼間のような明るさ。夜もあけかかってきたと見えて、梢の上がほのぼのと白くなる。

それッ、というので、ひょろ松を先頭にしてアコ長、とど助、藤右衛門の四人が白砂を蹴って駈けだす。

行って見ると、なるほど、藤右衛門の言った通り、本殿のほうから五六間おきに一人ずつ、近江屋鉄五郎、お源、お沢、お源の許婚者の青梅屋の新七という順序で、いずれも鷹の羽朱塗のお神矢で深くぼんのくぼを射られ、水浅黄の水干の襟を血に染めて俯伏せになって倒れている。