Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lisez 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 028 caractères · 28 écrans
どもの手にあうはずがない。毎年、大井の組が勝をとって、お褒めにあずかってきた。
その恒例の十五日は明後日にせまっている。局あらそいというのはよくあることだから染岡が大井の寵をねたみ、相手の力をそぐために、じぶんの局へでも引きこんで監禁めてあるのではないかと思い、奥年寄の老女に命じて、ひそかに染岡の局をうかがわせたが、これは無駄骨におわった。東門、巽門、紀伊国坂門、鮫橋門と、はじめから、十二のどの門も通っていないのである。
こうなれば、もう神隠しにでもあったか、大地に吸いこまれてでもしまったかと思うよりほかはない。あっけにとられて顔を見あわせるばかりだった。
もっとも、あとになって考えると、この日、ちょっと妙なことがあった。
本迹枢要、陀羅尼品の読経がすんで、これから献香花の式に移ろうとするとき、下座にいたひわという腰元が、とつぜん、あッと小さな叫び声をあげて顔を伏せてしまった。となりに坐っていたお伽坊主の朝顔という腰元が、そっとたずねると、いま、お祖師様が憐れむような眼つきで、じッとわたしの顔をごらんになった、と妙なことを口走った。
一行が市村座へついたのは巳刻(午前十時)すぎで、茶屋からすぐ桟敷へ通ると、簾をおろして無礼講の酒宴がはじまった。