Classiques japonais avec furigana
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かぜにのってくるコロポックル
風に乗って来るコロポックル
宮本 百合子
Lisez 風に乗って来るコロポックル (かぜにのってくるコロポックル) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 458 caractères · 39 écrans
確かに醜くはない。
澄み渡った声で悪口を云いながら、ちょっと左の方へ歪める意地悪そうな真赤な唇。いつも皆を鼻で遇(あしら)うようにジロリと横目を使う大きな眼。それ等は色彩の濃い、田舎のハイカラ洋服ときっちり調和して、狭い御者台の上にパッと光っていたのである。
馬の扱いが巧者になるに連れて、豊は煙草の持ちかたも、酒の飲みかたも覚えた。
いつの間にかは、馬車賃をちょろまかすことも平気になって、イレンカトムが黒を相手に、ポツポツと種を蒔き、種を刈入れている間に、豊の生活は彼の想像も及ばないように変って行った。
昨日までの子供であった豊の目前に、急に展開せられた種々雑多の世界に対しても、彼は矢張り、「すかんぼう」を振り廻して飛んで行った息子である。
行かれる処へ大胆に、陽気に侵入して行く彼の勇気を傷けるものは何もない。
自分の行為を判断する道徳も、臆病も、持ち合わせない彼にとって、煽動(おだて)の御輿(みこし)に王様然と倚りながら、担ぎ廻られることは決して詰らないことではない。
ただでは云わないお世辞で、自分の容貌、技(うで)等に法外の自信を持った十七の彼は、借金も自分の代りに償ってくれる者を控えている心強さから、存分の放埒(ほうらつ)をした。