Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しょくよく

食慾

豊島 与志雄

Lisez 食慾 (しょくよく) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 672 caractères · 20 écrans

Aozora Bunko

私は縁側にしゃがんで、遠い鈍痛のこもってるような胃部を押えて、彼の様子を眺めていましたが、彼は鰹節をしゃぶりながら、私の方を振向いて、微笑みかけ、それからふと、その微笑を消して、じっと私の顔を眺めました。その眼の中に、憐れみ……氷のように冷い憐憫を、私は読み取りました。

――「そんな、そんなばかなことがあるものか。気のせいだ。」と野口は申します。

けれど、憐憫にも、氷のように冷いものがあることは事実です。とは云え、鰹節の話なんか全くつまらないことかも知れません。

私は身長五尺五分、体重十二貫と少し、そして野口は、身長五尺五寸余、体重十六貫ばかり。この違いは、男と女にしてみれば、まあ仕方ないことかも知れませんし、私の胃腸の持病にしたところで、そう大したものではなく、養生の仕方によってはなおることもありましょうし、野口もそのつもりで、親切にいたわってくれます。朝の御飯がおいしく食べられるようになれば、もう病気はなおったも同様だ、とそう申しては、私の朝御飯に注意してくれます。けれども私は、いつからとなく、自分のことよりも、野口のことが目について仕方なくなりました。