Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くびがおちたはなし

首が落ちた話

芥川 竜之介

Lisez 首が落ちた話 (くびがおちたはなし) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 634 caractères · 16 écrans

Aozora Bunko

が、これは思わず彼が手を伸ばして、捉えようとする間もなく、眼界から消えてしまった。消える時に見ると、裙子は紗のように薄くなって、その向うにある雲の塊を、雲母のように透かせている。

その後からは、彼の生まれた家の後にある、だだっ広い胡麻畑が、辷るように流れて来た。さびしい花が日の暮を待つように咲いている、真夏の胡麻畑である。何小二はその胡麻の中に立っている、自分や兄弟たちの姿を探して見た。が、そこに人らしいものの影は一つもない。ただ色の薄い花と葉とが、ひっそりと一つになって、薄い日の光に浴している。これは空間を斜に横ぎって、吊り上げられたようにすっと消えた。

するとその次には妙なものが空をのたくって来た。よく見ると、燈夜に街をかついで歩く、あの大きな竜燈である。長さはおよそ四五間もあろうか。竹で造った骨組みの上へ紙を張って、それに青と赤との画の具で、華やかな彩色が施してある。形は画で見る竜と、少しも変りがない。それが昼間だのに、中へ蝋燭らしい火をともして、彷彿と蒼空へ現れた。その上不思議な事には、その竜燈が、どうも生きているような心もちがする、現に長い鬚などは、ひとりでに左右へ動くらしい。