Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
まと
魔都
久生 十蘭
Lisez 魔都 (まと) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 293 999 caractères · 578 écrans
時間はなるほど十一時間近いが、それにしても朝飯にこんなものを喰う奴はない。これだけでもお里が知れるのだが、加十はそんなことに気がつかぬ。ケチなものを注文したら化の皮が剥げはしないかと思って、無理から高価なものばかり選んで注文したんだが、これが上流の風習とちょうど反対になった。
喰べ馴れぬ食物も障りなく胃袋におさまり、心持よく気が重くなってまたウツラウツラしていると、ホテルの支配人が入って来て、何か御注文の品を持って来た使いが、じきじきお手渡したいといっていると告げる。
扉が極めて静かに開いて、鏡の中へ入って来たのは年のころ十八九の、絵に描いたような美しい娘である。何という美事な顔立ちであろう。下町の美男と美女だけが、場違いの血を交ぜずに幾代も配合された純血族の末に、このように洗練された顔だちが出来上るのであろうか。眼も鼻も唇も一つ一つそれだけで完成し切っていて、それが少しも無駄のない輪廓の中におさまり、譬えようのない清楚を、そのくせ情味のある、明るい近代的な顔をつくっている。映画好みの混血面ではない、東京の、純日本の精華である。
加十と向き合ったマントルピースの鏡に映ったのは、稀覯とも称すべきこのような美しい風景だった。