Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まと

魔都

久生 十蘭

Lisez 魔都 (まと) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 293 999 caractères · 578 écrans

Aozora Bunko

どうもその辺のことははッきり申し上げかねるのであります、というたよりない返事だった。

精しくやるとキリがないから、これはこのくらいにして置こう。それが真実だとすれば、ほぼ真名古の推察と符合するのである。

日比谷署を出ると、真名古は霞門から日比谷公園の中へ入って行く。

折から雲を破ってあらわれた眉のような新月。その淡い光が公園の小径を照らす。夜は深沈と更けわたり、四辺闃として、聞こゆるものは松吹く風の音ばかり。

真名古は痩せた肩を突兀と聳かしながら、藤棚の下を通り抜けて池の汀までやって来た。四阿の傍えには一基のアーク燈。人影なき地畔を照らして徒らに煌々。

真名古は凝然と腕組をしながら、瞬きもせずに噴水の鶴を眺めはじめる。あたかもその位置は、今朝真名古が佇んでいたその位置である。

嵯峨たる老松は水の上に腕を差し伸し、噴水の鶴はちょうどその枝の上に乗っているように見える。嘴から流れ落ちる水滴にアーク燈の光が反射して、風で絶えず羽毛をそよがしているような、妙に生き生きとした印象を与える。ああ、今にも飛び立つか、青銅の鶴は濶達な翼を張って夢見るように空を仰いでいる。