Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まと

魔都

久生 十蘭

Lisez 魔都 (まと) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 293 999 caractères · 578 écrans

Aozora Bunko

それを今、フイと思い出したのである。

「ねえ、王様お返事を伺いましょう」

「申しましょう。実は、いま金剛石に別れを惜しんでいたのでした。……金剛石はね、危ないと思ったんで、鶴子の家の料理場の壁の中へ塗りこめて置きました。廊下へ出る扉の傍に壁を繕った個所があるでしょう、あの中です……」

声の主はいかにも口惜しそうにチョッチョッと舌打ちして、

「ああ、そんな気がしていた。ほかの場所は残らず探したんだが、あそこだけ見残した。……たしかにあなたの勝ちでしたよ、王様。……それはそうと、それは真実でしょうね。もし行って見てなかったら、すぐ戻って来てあなたを殺しますよ。こっちだって生命がけの仕事なんだから」

「放って置いたって死ぬでしょうよ」

「そうとばかり限らないから殺しに来るんです、……では、さよなら」

「なるべく、「さよなら」であるように祈りますよ」

声はそれで聞こえて来なくなった。

加十は苔の上へドッカリと胡坐をかくと、ギロギロと四方の壁を見廻しながら、

「どうも、こいつはいけない事になった。いよいよ今度こそは俺の最後かナ。……せいぜい骨を折って見たが、この窮境を好転させたのか悪転させたのかわからない。