Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
まと
魔都
久生 十蘭
Lisez 魔都 (まと) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 293 999 caractères · 578 écrans
もとは日東生命の社屋だったが、それが丸の内の新館に移転して以来十年、雨風にさらされて立ち腐れになっていた。元来、よほど以前に出来た建物なので、壁は雨と埃にまみれてドス黒く汚れ、窓硝子はさんざんに砕け落ちて、や蟋蟀の住家になっていた。軒は傾き、蛇腹は落ち、棟の下から大きな亀裂が電光形に壁の上を走って、その亀裂に沿って青苔が生えている。さながら、西洋風の相馬御殿といったてい。試みに窓硝子の破れから屋内を覗いてみると、床の上には足のない椅子やら、蓋のとれた非常箱やらが、仰向いたり、俯向いたり、おぼつかない陽の光の中に参差落雑と転がっている。光の届かぬ奥まった壁の上には、剥げ落ちた壁紙の切れっぱしが垂れ下り、それが風に揺られてヒラヒラと動いている。心なしか物の怪でも立ち迷いそうな物凄い有様。
御存じの方もあるでしょう、日比谷公園の方から来かかると、いかにもこの建物が目障りで、思わず誰も顔を顰める、その建物。
一月二日の深夜で、前回に引続いてずっと空には月がある。寒月梅花を照らすといえば渋いが、相手がこういう廃屋となると何となく凄味を増す。これが妙に白々と月の光の中に浮き上って、硝子のない窓々がちょうど眼鼻のように見える。