Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lisez 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) de 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 127 675 caractères · 254 écrans

Aozora Bunko

夜が更けると猛獣の声が気味悪く聞えます。電車のない頃ですから、遅くなった時など、宅から迎いの車が来たことなどもあります。徹夜などは一向平気でいられました。まだ若かった私は、兄と知名の方たちとのお話を、いつも片隅で耳を聳てて、飽く時なく聞いていたのでした。

兄は間もなく、俗に太田の原という処に移りましたが、そこは暫くの仮住いでした。後に夏目漱石氏の住まわれた家なのです。それから団子坂に移りました。それまで千住で郡医などをしていた父は年も老いたので、兄と一緒に住むためにと、父母連れ立って地所を探して歩いた時、団子坂の崖上の地所が目に止ったのです。団子坂はその頃流行の菊人形で、秋一しきりは盛んな人出でしたので、父も人に誘われて見に来たこともありましたし、近くに「ばら新」という、有名な植木屋のあるのも知っていたのです。その地所には板葺の小屋が建っていました。そこに立ちますと、団子坂から、蛍の名所であった蛍沢や、水田などを隔てて、遥かに上野谷中の森が見渡され、右手には茫々とした人家の海のあなた雲煙の果に、品川の海も見えるのでした。その眺望に引きつけられて、幾度も来て見るごとにいよいよ気に入ったので、近い平坦な太田の原から、兄を連れて来て取極めたのでした。