Classiques japonais avec furigana
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う
鵜
山本 周五郎
Lisez 鵜 (う) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 733 caractères · 38 écrans
一
一
布施半三郎はその淵をみつけるのに二十日あまりかかった。
加能川には釣り場が多い、雇い仲間の段平は「三十八カ所ある」と云った。半三郎はひととおり見て廻ったが、自分の求めている条件に合うのは、その淵だけであった。――そこは七十尺ばかりの断崖の下にある。岩角や木の根をつたっておりるほかに道はない。対岸も同じような断崖で、淵はちょうど末すぼまりの袋のようになっている。川は右から曲って来て淵に入り、その淀みをぬけると左へ曲って川下へ下っている。したがってその淵はまったく他から隔絶しているし、人の来る心配もないといってよかった。
半三郎は満足そうに頷いた。彼は断崖の下の平たい岩の上に立って、流れや淀みのぐあいを見たり、両岸のようすを眺めやったりした。
「申し分なしだ」彼は云った、「まるでお誂え向きだ」
翌日、半三郎は支度をしてでかけた。
釣道具は江戸から持って来てあった。袋へ入れた竿と餌箱。魚籠はなかった、彼の釣りには魚籠は要らないのである。雇い仲間の段平は、旦那が忘れたのだろうと思った。
「もし旦那」と段平は云った、「魚籠をお持ちなさらねえのですか」
半三郎は「うん」