Classiques japonais avec furigana
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ばんがり
鷭狩
泉 鏡花
Lisez 鷭狩 (ばんがり) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 763 caractères · 22 écrans
しかし難有い。」
と、枕だけ刎ねた寝床の前で、盆の上ながらその女中――お澄――に酌をしてもらって、怪しからず恐悦している。
客は、手を曳いてくれないでは、腰が抜けて二階へは上れないと、串戯を真顔で強いると、ちょっと微笑みながら、それでも心から気の毒そうに、否とも言わず、肩を並べて、階子段を――上ると蜿りしなの寂しい白い燈に、顔がまた白く、褄が青かった。客は、機会のこんな事は人間一生の旅行のうちに、幾度もあるものではない。辻堂の中で三々九度の杯をするように一杯飲もう、と言った。――酒は、宵の、膳の三本めの銚子が、給仕は遁げたし、一人では詰らないから、寝しなに呷ろうと思って、それにも及ばず、ぐっすり寐込んだのが、そのまま袋戸棚の上に忍ばしてある事を思い出したし、……またそうも言った。――お澄が念のため時間を訊いた時、懐中時計は二時半に少し間があった。
「では、――ちょっと、……掃除番の目ざとい爺やが一人起きましたから、それに言って、心得さす事がありますから。」と軽く柔にすり抜けて、扉の口から引返す。……客に接しては、草履を穿かない素足は、水のように、段の中途でもう消える。