Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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さとう

麻布襍記 ――附・自選荷風百句

永井 荷風

Lisez 麻布襍記 ――附・自選荷風百句 (さとう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 37 256 caractères · 77 écrans

Aozora Bunko

追懐の情禁ずべからず。為めに此を記す。

○

余平素新聞を購わず。街頭電車を待つの時電信柱に貼り付けたる夕刊の記事表題を眺めて天下の形勢を知り電車来って此れに乗るや隣席の人の読むものを覗いて事の次第を審にす。たまたま活動写真弁士試験の一項を目にして以為らく警察の弱い者をいじめる事も亦至れり尽せる哉と。試験の科目に曰く爾に出るものは爾に反るとは何か。曰く李下に冠を整し瓜田に履を納れずとは何か。曰く寛政の三奇人とは誰ぞ。曰く何。曰く何と。もし審に此等の問に答得るの学力あらば誰か亦活弁とならんや。昔に在っても論語読み論語を知らず。況んや当今の教育英学を尊んで漢学を卑しむ。漢文中の故事成語を問わば小学校の教員も決して満点を得ざるべし。小説家も亦落第ならん。余も亦然りとす。

余講釈を聞いて寛政馬術の三名人を知ると雖も未寛政の三奇人の誰なるやを知らず。思うに高山彦九郎等の事を云うに似たれども橋の上で御辞儀をしたばかりでは別に奇人と云う程でもなし。奇人は狂人に近し勤王の志士を呼んで奇人となすが如きは蓋し官の喜ばざる処なるべし。

髪結床に組合の試験あり。役者に名題の試験あり。