Classiques japonais avec furigana
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はなのひょうげん
鼻の表現
夢野 久作
Lisez 鼻の表現 (はなのひょうげん) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 71 303 caractères · 141 écrans
この二つの疑問や反駁は詰るところ同じ意味で、誠に御尤も至極な理屈と申し上げなければなりませぬ。
事実上鼻はヒクヒクと動いたり、時々赤くなったり白けたりする外何等の変化も見えませぬ。
仮りに「鼻の表現というものがあると云うから一つ正体を見届けてやろう」という篤志家があって、他人と向い合った時なぞに相手の鼻ばかりをギョロギョロと見詰めておられたとします。生憎な事にはそんな場合に限ってかどうかわかりませぬが、とにかく相手の鼻は何等の表現を見せませぬ。色や形を微塵もかえませぬ。
これに反して眼や口や眉は盛んに活躍します。その表現はその変化の刹那刹那に悉く鼻を中心として焦点を結んで、こちらの顔に飛びかかって来るように思われます。
しかし鼻はそんな場合でも吾不関焉と済ましております。まるで嵐の中に在る鉄筋コンクリートの建築物のようで、只風景の中心の締りにだけなっているかの観があります。意志のお天気の変り工合や感情の風雲なぞの動き工合で色や形の感じが違って行くように見えるだけであります。
……矢っ張り鼻には動的の表現は無い……変化の出来ないものに表現力のあろう筈がない