Classiques japonais avec furigana
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どんてん
21世紀の日本人へ 永井荷風
永井 荷風
Lisez 21世紀の日本人へ 永井荷風 (どんてん) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 24 356 caractères · 51 écrans
○わたくしは仏寺の庭や墓地に対するほど神社の境内については興味を感じていない。神社は何やらわたくしには縁もゆかりもない処のような気がする。いずこの寺の門内にもよく在る地蔵尊を始め、迷信の可笑味を思い出させる淫祠も、また文人風の禅味を覚えさせる風致も、共に神社の境内には見られない故でもあろう。華表の形や社殿の様式も寺の堂宇や鐘楼を見る時のような絵画的感興を催さない。いずこの神社を見ても鳥居を前にした社殿の階前にはきまって石の狛犬が二つ向合いに置かれている。狛犬は後脚を折曲げて行儀好く居ずくまり、前の片足を上げて何やら人を招くような形をしていながら、吠えでもするように角張った口を開いて牙を現し、近寄れば飛付きそうな恐しい顔と態度とを見せている。階下の賽銭箱を見守るつもりかも知れない。通りがかりに交番に立っている巡査を見るといわれなく狛犬の態度が思い出される。神社の広大なものには寺の三門と同じような門があって、裸体の仁王尊の代りに矢を背負い弓を持った人形が塵だらけになって金網の中に胡坐をかいているが、いやに取りすましたその顔は、受付口の役人のように、もし何かきかれたら係りがちがうから他所へ行ってきけと言うようにしか見えない。