Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
アイえきのいちや
I駅の一夜
中谷 宇吉郎
Lisez I駅の一夜 (アイえきのいちや) de 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 480 caractères · 10 écrans
何か薄暗がりの中でごとごとと音がしている。大分待ってからやっと出て来たのは、さっきの女中さんではなく、声の主らしい。玄関は真暗なので、身体付きも分らないが「どうも失礼致しました。この頃ちょっと物騒なものでとんだ失礼を致しました。どうぞお上り下さいませ」という丁重な言葉付である。
「靴はお持ち致しますから。さあどうぞこちらの方へ、御二階の方で御座いますが」とその美しい声の主は、真暗な梯子段を先に立って案内してくれる。足許を探り探り上って行く私を、中段で待ち受けながら、その声の主は「こんな時に、こんな所に先生が御出でになろうとは夢にも思いませんでした。私は先生の随分熱心な愛読者なんで御座います」と言う。
「実はお部屋がもう御座いませんので、相宿を御願いしようと思ったので御座いますが、それも余り失礼なので。あの誠に失礼で御座いますが、私の部屋でおやすみになって戴くよりないので御座いますが」という話である。梯子段を上ったすぐ右がその部屋である。
前後一時間ばかり真暗な中をさまよった末に、初めて明るい部屋に通された。四畳半の部屋である。美しい声の主は紺絣のもんぺをはき、同じ紺絣のちゃんちゃんを着ていた。