Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

エスみさきせいようふじんこうさつじけん

S岬西洋婦人絞殺事件

夢野 久作

Lisez S岬西洋婦人絞殺事件 (エスみさきせいようふじんこうさつじけん) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 26 951 caractères · 52 écrans

Aozora Bunko

「ちょっと待って下さい」

犬田博士は透かさず手を揚げて制した。

「もうすこし犯人に関する証跡が上るまで待って下さい。最後まで研究してみて、その犯人にピッタリ来るかどうかが問題なのですから……指紋は一つも無いでしょう……どこにも……」

署長が無言のまま眼を丸くして犬田博士の顔を見た。同時に司法主任がハッと強直した。そうして二人とも小供のように犬田博士の顔を凝視したまま点頭いた。それは犯人が決定しかけている直前の緊張した、感激に満ち満ちた瞬間であった。

アトから聞いたところによると、この事件の終始を通じてこの時ぐらい署長と司法主任が度肝を抜かれた事はなかったという。もちろん犬田博士は、まだこの家の内部を一度も調べた事はなかったが、一番最初に署長の話を聞いた時から指紋が一つも残っていない事をアラカタ察していたので何気なくこう云ったものであったが、この時に署長と司法主任の警部の想像に浮かんでいた犯人の特徴の一つとして、手配されて来た書類の中に「如何なる場合にも指紋を残さず」という一項が特筆されていたので、その点不意討式にズバリと云い当た犬田博士の言葉に、二人とも殆んど神に近い敬意を感じたという。