Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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「いき」のこうぞう

「いき」の構造

九鬼 周造

Lisez 「いき」の構造 (「いき」のこうぞう) de 九鬼 周造 (くきしゅうぞう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 50 258 caractères · 101 écrans

Aozora Bunko

顔面の表情が「いき」なるためには、眼と口と頬とに弛緩と緊張とを要する。これも全身の姿勢に軽微な平衡破却が必要であったのと同じ理由から理解できる。眼については、流眄が媚態の普通の表現である。流眄、すなわち流し目とは、瞳の運動によって、媚を異性にむかって流し遣ることである。その様態化としては、横目、上目、伏目がある。側面に異性を置いて横目を送るのも媚であり、下を向いて上目ごしに正面の異性を見るのも媚である。伏目もまた異性に対して色気ある恥かしさを暗示する点で媚の手段に用いられる。これらのすべてに共通するところは、異性への運動を示すために、眼の平衡を破って常態を崩すことである。しかし、単に「色目」だけでは未だ「いき」ではない。「いき」であるためには、なお眼が過去の潤いを想起させるだけの一種の光沢を帯び、瞳はかろらかな諦めと凛乎とした張りとを無言のうちに有力に語っていなければならぬ。口は、異性間の通路としての現実性を具備していることと、運動について大なる可能性をもっていることとに基づいて、「いき」の表現たる弛緩と緊張とを極めて明瞭な形で示し得るものである。