Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いなか、の、じけん
いなか、の、じけん
夢野 久作
Lisez いなか、の、じけん de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 535 caractères · 78 écrans
「知らんがナ……」
と云い云いふり仰ぐお八重の笑顔は、女神のように美しく無邪気であった。
親爺は困惑した顔になった。そこいらをオドオド見まわしては新らしいラムプの光りと、娘の膨れた腹とを、さも恨めしげに何遍も何遍も見比べた。
「オラ知っとる……」「ヒッヒッヒッヒッ」
という小さな笑い声がその時に入口の方から聞えた。
その声が耳に這入ったかして、元五郎親爺はサッと血相をかえた。素裸体のまま曲った足を突張って、一足飛びに入口の近くまで来た。それと同時に、
「ワ――ッ」「逃げろッ」
という声が一時に浴場のまわりから起って、ガヤガヤガヤと笑いながら、八方に散った。そのあとから薪割用の古鉈を提げた元五郎親爺が、跛引き引き駆け出したが、これも森の中の闇に吸い込まれて、足音一つ聞こえなくなった。
その翌る朝の事。元五郎親爺は素裸体に、鉈をしっかりと掴んだままの死体になって、鎮守さまのうしろの井戸から引き上げられた。又娘のお八重は、そんな騒ぎをちっとも知らずに廃屋の台所の板張りの上でグーグー睡っていたが、親爺の死体が担ぎ込まれても起き上る力も無いようす……そのうちにそこいらが変に臭いので、よく調べてみると、お八重は叱るものが居なくなったせいか、昨夜の残りの冷飯の全部と、糠味噌の中の大根や菜っ葉を、糠だらけのまま残らず平らげ