Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おかよ

おかよ

山本 周五郎

Lisez おかよ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 116 caractères · 19 écrans

Aozora Bunko

「お札、御守り札が割れていましたか」弥次郎は、ぎょっとして眼をみはった。

「傷の手当をするので脱っておいた、枕もとにあるから見るがよい」

弥次郎は首をあげた、それは枕の脇に胴巻のまま丸めて置いてあった。手に取ってみると弾丸の痕があり、はたして、中の御札は二つに割れていた。弥次郎は腹巻に作った布の中へ手を入れ、しずかに御守り札をとりだした。しかし、とりだしたのはお札ではなかった、小さな白木の板を二枚合せたもので、その間からばたりと落ちたものがある。なんだ、そう思ってとりあげてみた彼は、顔色の変るほどびっくりした。それは「ほぞの緒」だった、おかよの生年月日を記した彼女の「ほぞの緒」だったのである。

弥次郎はあっと胸をつかれた。――おかよ、おまえは八幡宮のお札だと云った、何人もの人が戦場へ着けて出て、矢弾丸に当らず大功をたてたと云った……。しかしそういう物を彼女が持っているはずはない。手にいれることができたら、どんなにしても、霊験あらたかな御守りを贈りたかったにちがいない。おかよは孤児だし茶店の娘である。暇もなかった、手づるもなかった。――それでおまえは、自分のほぞの緒を入れたんだ、自分の身で己を護ろうとしたんだな。