Classiques japonais avec furigana
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おさん
おさん
山本 周五郎
Lisez おさん de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 128 caractères · 66 écrans
参太は手酌で注いだ酒を、ゆっくりと啜りながら、呟いた、「――かなしいもんだな」
彼は両親のことを思った。父の弥兵衛は大工の棟梁だったが、吝嗇なくせに人の好い性分で、いつも損ばかりしていた。普請を請負うたびに損をするか、たまに儲けたと思うとうまく騙されて金を貸し、相手に逃げられてしまう。酒は殆んど飲まないし女あそびもしなかった。参太が五つのときと、八つのときと二度、その父親が深川あたりの芸妓と逃げたことがあった。詳しい事情はわからないが、母親のぐち話から推察すると、二度とも妓に騙されたらしい。どっちの場合もかなり多額な金を使っているのに、三十日そこそこで父親は帰って来たようだ。華やいだ話はその二度だけで、あとはつきあい酒もろくに飲まず、下駄一足を買うのにさえ渋い顔をするといったような、およそ大工の棟梁という職とはかけはなれた、けちくさいくらしかたをしていた。母親は蔭でこそぐちを云うが、良人にさからったり、意見がましいことを云ったりするようなためしは一度もなかった。食事のおかず拵えをするのが好きで、銭を使わずにびっくりするほど美味い物を作ってくれた。