Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おせん

おせん

邦枝 完二

Lisez おせん de 邦枝 完二 (くにえだかんじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 74 074 caractères · 148 écrans

Aozora Bunko

他目からは、どう見ても医者の見舞としか想われなかった駕籠の周囲は、いつの間にやら五人十人の男女で、百万遍のように取囲んで、追えば追う程、その数は増して来るばかりであった。

「ちょいとお前さん、何んだってあんなお医者の駕籠に、くッついて歩いているのさ」

「なんだ神田の、明神様の石の鳥居じゃないが、お前さんもきがなさ過ぎるよ。ありゃァただのお医者様の駕籠じゃないよ」

「だってお辰つぁん、どう見たって。……」

「叱ッ、静かにおしなね。あン中にゃ、浜村屋の太夫さんが乗ってるんだよ」

「浜村屋の太夫さん。――」

「そうさ。きのう舞台で倒れたまま、今が今まで、楽屋で寝てえたんじゃないか。それをお前さん、どうでも家へ帰りたいと駄々をこねて、とうとうあんな塩梅式に、お医者と見せて帰る途中だッてことさ」

「おやまァ、そんならそこを退いとくれよ」

「なぜ」

「あたしゃ駕籠の傍へ行って、せめて太夫さんに、一言でもお見舞がいいたいンだから。……」

「何をいうのさ。太夫は大病人なんだよ。ちっとだッて騒いだりしちゃァ、体に障らァね。一緒について行くなァいいが、こッから先へは出ちゃならねえよ」

「いいから退いとくれッたら」