Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おせん

おせん

邦枝 完二

Lisez おせん de 邦枝 完二 (くにえだかんじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 74 074 caractères · 148 écrans

Aozora Bunko

一人一人の違った女の声が、代り代りに聞えて来る。この世ながらの極楽だ。上はお大名のお姫様から、下は橋の下の乞食まで、十五から三十までの女と名のつく女の髪は、ひと筋残らずはいってるんだぜ。――どうだ松つぁん。おいらァ、この道へかけちゃ、江戸はおろか、蝦夷長崎の果へ行っても、ひけは取らねえだけの自慢があるんだ。見ねえ、髪の毛はこの通り、一本残らず生きてるんだから。……」

松五郎の膝もとから、黒髪の束を取りあげた春重は、忽ちそれを顔へ押し当てると、次第に募る感激に身をふるわせながら、異様な声で笑い始めた。

「重さん。おれァ帰る」

「帰るンなら、せめて匂だけでも嗅いできねえ」

が、松五郎は、もはや腰が坐らなかった。

六

「ああ気味が悪かった。ついゆうべの惚気を聞かせてやろうと思って、寄ったばっかりに、ひでえ目に遇っちゃった。変り者ッてこたァ知ってたが、まさか、あれ程たァ思わなかった。――あんな奴につかまっちゃァ、まったくかなわねえ」

弾かれた煎豆のように、雨戸の外へ飛び出した松五郎は、酔いも一時に醒め果てて、一寸先も見えなかったが、それでも溝板の上を駆けだして、角の煙草屋の前まで来ると、どうやらほっと安心の胸を撫でおろした。