Classiques japonais avec furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Lisez おせん de 邦枝 完二 (くにえだかんじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 74 074 caractères · 148 écrans
憚ンながら駕籠定の竹と仙蔵は、江戸一番のおせんちゃんを乗せてるんだと、みんなに見せてやりてえんで。……」
「どうかそんなことは、もういわないでおくんなさい」
「評判娘のおせんちゃんだ。両方揚げて悪かったら、片ッ方だけでもようがしょう」
「そうだ、姐さん。こいつァ何も、あっしらばかりの見得じゃァごあんせんぜ。春信さんの絵で売り込むのも、駕籠から窺いて見せてやるのも、いずれは世間へのおんなじ功徳でげさァね。ひとつ思い切って、ようがしょう」
「どうか堪忍。……」
「欲のねえお人だなァ。垂を揚げてごらんなせえ。あれ見や、あれが水茶屋のおせんだ。笠森のおせんだと、誰いうとなく口から耳へ伝わって白壁町まで往くうちにゃァ、この駕籠の棟ッ鼻にゃ、人垣が出来やすぜ。のう竹」
「そりゃァもう仙蔵のいう通り真正間違えなしの、生きたおせんちゃんを江戸の町中で見たとなりゃァ、また評判は格別だ。――片ッ方でもいけなけりゃ、せめて半分だけでも揚げてやったら、通りがかりの人達が、どんなに喜ぶか知れたもんじゃねえんで。……」
「駕籠屋さん」
「ほい」
「あたしゃもう降りますよ」
「何んでげすッて」
「無理難題をいうんなら、ここで降ろしておくんなさいよ」