Classiques japonais avec furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Lisez おせん de 邦枝 完二 (くにえだかんじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 74 074 caractères · 148 écrans
――」
「ふふふ。あんまりよくもなかろうが、ちと、来ずには済まされぬことがあっての」
「そこではお話も出来ませんで。……どうぞ、こちらへお通り下さりませ」
「しかし、わたしが上っても、いいのか」
「何を仰しゃいます。狭苦しゅうはござりますが、御辛抱しやはりまして。……」
「では遠慮なしに、通してもらいましょうか。……のう太夫」
座敷へ上って、膝を折ると同時に、春信の眼は険しく松江を見詰めた。
「今更あらためて、こんなことを訊くのも野暮の沙汰だが、おこのさんといいなさるのは、確にお前さんの御内儀だろうのう」
「何んといやはります」
松江のおもてには、不安の色が濃い影を描いた。
「深いことはどうでもいいが、ただそれだけを訊かしてもらいたいと思っての。あれが太夫の御内儀なら、わたしはこれから先、お前さんと、二度と顔を合わせまいと、心に固く極めて来たのさ」
「えッ。ではやはり。……」
「太夫。つまらない面あてでいう訳じゃないが、お前さんは、いいお上さんを持ちなすって、仕合だの。――帯はたしかにわたしの手から、おせんのとこへ返そうから、少しも懸念には、及ばねえわな」
「どうぞ堪忍しておくれやす」