Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おりつとこらと
お律と子等と
Lisez お律と子等と (おりつとこらと) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 195 caractères · 51 écrans
――」
いつか泣いていた慎太郎は、菊の花びらが皆なくなるまで、剛情に姉と一本の花簪を奪い合った。しかし頭のどこかには、実母のない姉の心もちが不思議なくらい鮮に映っているような気がしながら。――
慎太郎はふと耳を澄せた。誰かが音のしないように、暗い梯子を上って来る。――と思うと美津が上り口から、そっとこちらへ声をかけた。
「旦那様」
眠っていると思った賢造は、すぐに枕から頭を擡げた。
「何だい?」
「お上さんが何か御用でございます。」
美津の声は震えていた。
「よし、今行く。」
父が二階を下りて行った後、慎太郎は大きな眼を明いたまま、家中の物音にでも聞き入るように、じっと体を硬ばらせていた。すると何故かその間に、現在の気もちとは縁の遠い、こう云う平和な思い出が、はっきり頭へ浮んで来た。
――これもまだ小学校にいた時分、彼は一人母につれられて、谷中の墓地へ墓参りに行った。墓地の松や生垣の中には、辛夷の花が白らんでいる、天気の好い日曜の午過ぎだった。母は小さな墓の前に来ると、これがお父さんの御墓だと教えた。が、彼はその前に立って、ちょいと御時宜をしただけだった。