Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かんかんむし

かんかん虫

有島 武郎

Lisez かんかん虫 (かんかんむし) de 有島 武郎 (ありしまたけお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 483 caractères · 23 écrans

Aozora Bunko

丁度私が其の不調和なヤコフ・イリイッチの面構えから眼を外らして、手近な海を見下しながら、草の緑の水が徐ろに高くなり低くなり、黒ペンキの半分剥げた吃水を嘗めて、ちゃぶりちゃぶりとやるのが、何かエジプト人でも奏で相な、階律の単調な音楽を聞く様だと思って居ると、

睡いのか。

とヤコフ・イリイッチが呼びかけたので、顔を上げる調子に見交わした。彼に見られる度に、私は反抗心が刺戟される様な、それで居て如何にも抵抗の出来ない様な、一種の圧迫を感じて、厭な気になるが、其の眼には確かに強く人を牽きつける力を籠めて居る。「豹の眼だ」と此の時も思ったのである。

私が向き直ると、ヤコフ・イリイッチは一寸苦がい顔をして、汗ばんだだぶだぶな印度藍のズボンを摘まんで、膝頭を撥きながら、突然こう云い出した。

おい、船の胴腹にたかって、かんかんと敲くからかんかんよ、それは解せる、それは解せるがかんかん虫、虫たあ何んだ……出来損なったって人間様は人間様だろう、人面白くも無えけちをつけやがって。

而して又連絡もなく、

お前っちは字を読むだろう。

と云って私の返事には頓着なく、

ふむ読む、明盲の眼じゃ無えと思った。