Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
くろがねてんぐ
くろがね天狗
海野 十三
Lisez くろがね天狗 (くろがねてんぐ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 616 caractères · 18 écrans
虎松は一旦あげた面を、へへッとまた畳とすれすれに下げた。
「まことに以て面目次第も御座りませぬが、高松半之丞様御行方のところは、只今もって相分りませぬような仕儀で……」
「なに、この一年も無駄骨だったと申すか……」
と、帯刀は暗然として腕を拱いた。
高松半之丞というのは、帯刀から云えば、亡友高松半左衛門の遺児で、同じ旗の本に集っていた若侍、また岡引虎松から云えば、世話になった故主半左衛門の遺した只一人の若様だった。半左衛門亡き後のこととて、虎松は陰になり日向になり、この年若の半之丞を保護してきたつもりなのに、彼はスルリと腋の下を通りぬけて、どこかへ出奔してしまった。その原因は誰にも分りすぎるほど分っていた。それはかの帯刀の愛娘お妙に失恋したためだった。その失恋も単純な失恋ではなく、人もあろうに、半之丞と同じ若侍の千田権四郎という武芸こそ家中第一の達人であるが、蛮勇そのもののようなむくつけき猪武者にお妙を取られた形とあって、センチメンタル派の半之丞は失意と憤懣やるせなく、遂に一夜、どこともなく屋敷を出ていったのであった。
お妙の父帯刀は、どっちかというと半之丞のような柔弱な人物を好いてはいなかった。