Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
くろがねてんぐ
くろがね天狗
海野 十三
Lisez くろがね天狗 (くろがねてんぐ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 616 caractères · 18 écrans
虎松も招ばれて末座に割のわるい一役をつとめさせられたが、お開きと共に折詰を下げてイの一番に帯刀の邸をとび出した。彼は外に出ると、あたりを見廻した上で、塀に向ってシャアシャアと長い尿をたれた。
「オヤ、誰だッ――」
誰も居ないと思った虎松の背後を、スーッと人の通りぬける気配がした。彼は吃驚して尿をやめて背後を振りかえった。
「……」
そこに予期した人影が、不思議にも見当らなかった。ただ――それから一町ほど先で、カチリと金属の擦れあう疳高い音響が聞えた。
「な、なんだろう――今のは?」
通り魔か? 通りすぎた気配だけあって、姿のない怪人! 生命の満足に残ったのが虎松にとって大きな倖だったといえる。虎松は雪駄を帯の間に挿むと、足袋跣足のまま、下町の方へドンドン駈け下りていった。
「やあ、そこへ行くなあ親分じゃございませんか」
虎松はギョッとして暗闇に立ち止ったが、提灯の標を見て安心した。
「ほう、三太か。……いま時分何の用だ」
「へえ、これはよいところでお目に懸りやした。実はお上からのお召しでござります。なんでも、今宵辻斬天狗が大暴れに暴れとりますんで……。それにつきまして、これから帯刀様御邸へお迎えに出るところでござりました」