Classiques japonais avec furigana
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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
Lisez ぐうたら道中記 (ぐうたらどうちゅうき) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 164 113 caractères · 332 écrans
山というと必ず何とか因縁をつける。僕の学校には水癲癇といって海や川を見ると青くなる生徒がいるが、団さんは山癲癇かも知れない。
汽車が綺麗な球磨川の岸を溯って人吉に着いた時、
「イヨ/\、九州相良だね」
とお父さんは窓から首を出した。しかし左甚五郎が拵えた青井さんの御門の外何も見るものはないと言われて来たので、途中下車は思い止まった。間もなくトンネルが幾つも続いて、螺旋式軌道へ差しかゝる。
「こえかあがウープ式にないます」
と乗客の一人が言った。
「ループ式よ。ラリルレロが駄目ね」
と田鶴子さんが僕に囁いた。
「線路が矢岳まで山々の腹をグウ/\廻いながあ上います」
とラ行を忘れて来た男は悉皆ア行で間に合わせる。斯う気がついて耳を澄ますと、口を利いている乗客で舌の廻るのは極く尠い。大抵大隅薩摩の人らしい。
「六割の利益配当をし居った会社を、一騎も来んちん悉皆縮小しました。おいどんと違うて先が見ゆうかあ豪いですよ」
と実業家風のが言うと、
「……論より証拠使用人が大将の為めに労を吝みません。第一人格が立派です」
等と相手も劣らず呂律が怪しい。焼酎を始終飲むそうだから酔った時の影響が白面になっても残っているのだろう。