Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
さようなら
さようなら
田中 英光
Lisez さようなら de 田中 英光 (たなかひでみつ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 251 caractères · 44 écrans
だから死に対し普通の幼児はただ無関心のように感じられるが、ぼくの場合は白昼にでも死を想えばうなされるほどの興味や憎悪があった。そんなぼくに、最初に、「さようなら」した肉親は同居していた母方の祖母で、六十そこそこの病死だったと思うが、恐ろしく厭な記憶は自然に忘却できる人間心理の本能から、ぼくは祖母の死因も死顔もなに一つ覚えていない。祖母は享楽好きの土佐女として、五十過ぎても薄化粧したり三味線をひいたり、友人を集め、謡いにこったり花札を戦かわせたりするのを好み、孫のぼくたちを煩さがるような女だったので、彼女の死は少しもぼくを淋しがらせなかった。ぼくは丁度、十歳だった。厳粛な顔の大人たちと共に、祖母の死床の枕頭に坐らせられ、見違えるほど小さく萎びた彼女の顔の上の白布が除かれ、父から始め、彼女の動かない紫色の唇に、ひとりひとりが水に濡らした新しい筆の穂先をおしつけるのを眺めていて、嘔気がするほど気持が悪く、急いでその場から逃げだすと奥の子供部屋で、愛読していた講談本にとりついたのを覚えている。
続いて翌年、ぼくは例の大正十二年の震災に逢った。ぼくの家は半潰で済んだが、近所には全潰、赤ちゃんを抱いたまま、ぼくの友人の母親が圧死するなぞ、夥ただしい死者が出て、大揺れの済んだ後、長兄は近くの男たちとその死体発掘作業