Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しじみがし
しじみ河岸
山本 周五郎
Lisez しじみ河岸 (しじみがし) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 438 caractères · 51 écrans
塩からくて、臭みのある水だった。――三度めに沈めると、相手の躯からすぐに力がぬけた。そこで律之助は浮きあがったが、脱力した相手の躯が重たくて、水面へ出るのに骨が折れた。
浮きあがってみると、両岸に繋いである船から、四五人の者がこっちを見て、なにか口ぐちに叫んでいた。岸の上にも立停っている者がいた。
「綱はないか」と彼は叫んだ、「こいつ溺れているんだ、綱を投げてくれ」
「いま舟が来ます」とすぐそこに繋いだ荷足船の上から、船頭らしい男が云った。
櫓の音がするので、振返ると、ちょき舟が一艘こっちへ近づいて来た。向う岸から漕ぎだしたらしい、鉢巻をした半纒着の若者が、雨に濡れながら巧みに櫓を押している。――律之助は男の躯を支えながら、自分の腰が軽いので、刀をなくしたなと思った。しかし、水の中だから軽く感じたのであろう、両刀ともちゃんと腰にあるのがすぐにわかった。
「気を喪ってるだけだ」舟が来ると、律之助が云った、「ちょっと手を貸してくれ」
「へえ、あっしがあげます」と若者は跼んで両手を伸ばした、「旦那、大丈夫ですか」
「おれは大丈夫だ――いいか」
「よいしょ」若者は男を舟の上へ引きあげた。