Classiques japonais avec furigana
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じゅりあの・きちすけ
じゅりあの・吉助
Lisez じゅりあの・吉助 (じゅりあの・きちすけ) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 1 957 caractères · 4 écrans
その日彼は町中を引き廻された上、さんと・もんたにの下の刑場で、無残にも磔に懸けられた。
磔柱は周囲の竹矢来の上に、一際高く十字を描いていた。彼は天を仰ぎながら、何度も高々と祈祷を唱えて、恐れげもなく非人の槍を受けた。その祈祷の声と共に、彼の頭上の天には、一団の油雲が湧き出でて、ほどなく凄じい大雷雨が、沛然として刑場へ降り注いだ。再び天が晴れた時、磔柱の上のじゅりあの・吉助は、すでに息が絶えていた。が、竹矢来の外にいた人々は、今でも彼の祈祷の声が、空中に漂っているような心もちがした。
それは「べれんの国の若君様、今はいずこにましますか、御褒め讃え給え」と云う、簡古素朴な祈祷だった。
彼の死骸を磔柱から下した時、非人は皆それが美妙な香を放っているのに驚いた。見ると、吉助の口の中からは、一本の白い百合の花が、不思議にも水々しく咲き出ていた。
これが長崎著聞集、公教遺事、瓊浦把燭談等に散見する、じゅりあの・吉助の一生である。そうしてまた日本の殉教者中、最も私の愛している、神聖な愚人の一生である。
(大正八年八月)