Classiques japonais avec furigana
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すみだがわ
すみだ川・新橋夜話 他一篇
永井 荷風
Lisez すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 44 378 caractères · 88 écrans
そこ此処に二、三軒今戸焼を売る店にわずかな特徴を見るばかり、何処の場末にもよくあるような低い人家つづきの横町である。人家の軒下や路地口には話しながら涼んでいる人の浴衣が薄暗い軒燈の光に際立って白く見えながら、あたりは一体にひっそりして何処かで犬の吠える声と赤児のなく声が聞える。天の川の澄渡った空に繁った木立を聳かしている今戸八幡の前まで来ると、蘿月は間もなく並んだ軒燈の間に常磐津文字豊と勘亭流で書いた妹の家の灯を認めた。家の前の往来には人が二、三人も立止って内なる稽古の浄瑠璃を聞いていた。
折々恐しい音して鼠の走る天井からホヤの曇った六分心のランプがところどころ宝丹の広告や『都新聞』の新年附録の美人画なぞで破れ目をかくした襖を始め、飴色に古びた箪笥、雨漏のあとのある古びた壁なぞ、八畳の座敷一体をいかにも薄暗く照している。古ぼけた葭戸を立てた縁側の外には小庭があるのやらないのやら分らぬほどな闇の中に軒の風鈴が淋しく鳴り虫が静に鳴いている。師匠のお豊は縁日ものの植木鉢を並べ、不動尊の掛物をかけた床の間を後にしてべったり坐った膝の上に三味線をかかえ、樫の撥で時々前髪のあたりをかきながら、掛声をかけては弾くと、稽古本を広げた桐の小机を中にして此方には三十前後の商人らしい男が中音で、「そりや何をいはしやんす、今さら