Classiques japonais avec furigana
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すみだがわ
すみだ川・新橋夜話 他一篇
永井 荷風
Lisez すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 44 378 caractères · 88 écrans
不動様のお三日という午過ぎなぞ参詣戻りの人々が筑波根、繭玉、成田山の提灯、泥細工の住吉踊の人形なぞ、さまざまな玩具を手にさげたその中には根下りの銀杏返しや印半纏の頭なども交っていて、幾艘の早舟は櫓の音を揃え、碇泊した荷舟の間をば声を掛け合い、静な潮に従って流れて行く。水にうつる人々の衣服や玩具や提灯の色、それをば諸車止と高札打ったる朽ちた木の橋から欄干に凭れて眺め送る心地の如何に絵画的であったろう。
夏中洲崎の遊廓に、燈籠の催しのあった時分、夜おそく舟で通った景色をも、自分は一生忘れまい。苫のかげから漏れる鈍い火影が、酒に酔って喧嘩している裸体の船頭を照す。川添いの小家の裏窓から、いやらしい姿をした女が、文身した裸体の男と酒を呑んでいるのが見える。水門の忍返しから老木の松が水の上に枝を延した庭構え、燈影しずかな料理屋の二階から芸者の歌う唄が聞える。月が出る。倉庫の屋根のかげになって、片側は真暗な河岸縁を新内のながしが通る。水の光で明く見える板橋の上を提灯つけた車が走る。それらの景色をばいい知れず美しく悲しく感じて、満腔の詩情を托したその頃の自分は若いものであった。