Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

そのきどをとおって

その木戸を通って

山本 周五郎

Lisez その木戸を通って (そのきどをとおって) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 448 caractères · 44 écrans

Aozora Bunko

他人は信じないかもしれないが、女と切れるときも、無情だったり卑怯だったりしたことはなかった。別れるときにはするだけのことをして、きれいさっぱり別れたものだ。

――本当にそうか、そうでなかった例は一度もないか、本当にか。

正四郎は考えこみ、それから、確信があるとは思えないような眼つきで、「ない」と心の中で呟いた。とすれば、訪ねて来て家にいるという女はなんだ。あの女はなに者だ、どういうわけのある女だ、おまえのなんだ。そう問い詰める田原権右衛門の声が、耳の中でがんがん響きわたるように思えた。

「平松さん」と勘定方の若侍が来て云った、「こちらの帳簿はもう済んだのでしょうか」

「ひら、――ああそうか、うん」と云って、正四郎は眼がさめたように首を振った、「それはまだ済まない、もう少し待ってくれ」

野上というその勘定方の若侍は、声をひそめて云った、「なにか御心配なことでもあるのですか」

正四郎は笑ってみせた。

「それならいいですが」と野上は云った、「下城したら石垣町の梅ノ井でお待ち申していると、村田どのからの伝言でございます」

勘定仕切が終ると、慰労の宴をするのが毎年のしきたりであった。