Classiques japonais avec furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lisez 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) de 佐藤 垢石 (さとうこうせき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 118 470 caractères · 244 écrans
それが、五、六月頃から十月頃までの出水期には、激流が荒れ狂って、田地田畑からお城まで洗い去っていた。
かくして、寛延二年正月酒井忠恭は播州へ転封となり、その後へ松平大和守朝矩が来たり、この厩橋城へ入ったのである。その頃は、厩橋城廓の崩潰が甚だしい最中で、殿様の朝矩は危険で居堪らなくなり、本丸から三の丸へ引っ越さねばならぬありさまであったという。
だが利根の激流は年々歳々、勢いを増してきて、城壁は崩れて底止するところを知らない。ついに、三の丸も危なくなった。
そこで、朝矩は在城僅かに十九年にして明和五年三月武州川越城へ移り、厩橋には陣屋を置いて分領としたのである。関東の四平城の一つとして名高かった厩橋城も、松平氏が川越へ避難してから廃城となり、その後十九年間、城内は荒れるに任せ、昔の偉観なく廃墟の姿となったのである。
従って、厩橋の城下もさびれてしまった。多くの藩士はすべて川越へ去ったので、市中の商人はひどく衰え、町家は年と共に疲弊して町のなかへ田や畑が現われるという状態となった。市中へ、一つ目小僧や、大入道が散歩にでかけて、人々に腰を抜かせたのもこの頃だ。