Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あわもりものがたり

『たぬき汁』以後

佐藤 垢石

Lisez 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) de 佐藤 垢石 (さとうこうせき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 118 470 caractères · 244 écrans

Aozora Bunko

だが、女は別段驚いた風もなく、凝乎と賢彌とは反対の方へ向いたまま、浴槽の一隅に浸っている。だから、賢彌は女のうしろ姿を見ているわけである。ところで、うしろ姿から察すると、若い婦人であることはたしかであると思う。

法師温泉の、この長方形の浴槽は甚だ大きなものである。一方の隅から、一方の隅までは少なくとも四間半はあるであろう。浴槽の面を漂う湯気を通して、朧な女のうしろ姿をながめながら、賢彌は静かに湯のなかに脚を伸ばしていた。

暫くすると女は、湯から出て流し場へ上がり、全身をあきらかに現わした。その、うしろ姿を見て賢彌は、からだ中の血が一瞬に頭へのぼったように、じいんとした凄気を催したのである。豊かな肉付き、なめらかな白いうなじ、両腕、そして肩から背に移る曲線を蔽う皮膚。

だが、腰から下は大きな魚体であったのである。順序正しく並んだ銀鱗が、はっきりと見える。賢彌は、はっとして一度眼を瞑ったが、さらにしっかりと見直した。けれど、はじめて見た姿と、なんの変化もない。女は手拭を絞って、湯に濡れた顔や体の皮膚を拭い終わると、うしろを振り向いて賢彌に、にこやかな視線を送った。