Classiques japonais avec furigana
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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
Lisez ちくま日本文学014 谷崎潤一郎 (しゅんきんしょう) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 85 196 caractères · 169 écrans
は住吉の景色であるらしく、片側に鳥居と反橋とが松林の中に配してあり、片側に高燈籠と磯馴松と浜辺の波が描いてある。「海」から「竜角」「四分六」のあたりには無数の千鳥が飛んでいて、「荻布」のある方、「柏葉」の下に五色の雲と天人の姿が透いて見える。そしてそれらの蒔絵や絵の具の色は、桐の木地が時代を帯びて黒ずんでいるために、一層上品な光を沈ませて眼を射るのである。津村は油単の塵を拭って、改めてその染め模様を調べた。地質は多分塩瀬であろう、表は上の方へ紅地に白く八重梅の紋を抜き、下の方に唐美人が高楼に坐して琴を弾じている図がある。楼の柱の両側に「二十五絃弾月夜」「不堪清怨却飛来」と、一対の聯が懸っている。裏は月に雁の列を現わした傍に「雲みちによそえる琴の柱をはつらなる雁とおもいける哉」と云う文字が読めた。
しかしそれにしても、八重梅は津村家の紋でないのであるが、養家の浦門家の紋か、あるいはひょっとすると、新町の館の紋ではなかったのであろうか。そして津村家へ嫁ぐについて、不用になった色町時代の記念の品を郷里へ贈ったのではないか。恐らくその時分、実家の方に年頃の娘かなんぞがいて、その児のために田舎の祖母が貰い受けたと云うことも考えられる。