Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちゃん

ちゃん

山本 周五郎

Lisez ちゃん de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 377 caractères · 45 écrans

Aozora Bunko

「それぁ、そのくらいのことはね、親方」と喜助はあいそ笑いをした、「ま一つ、お酌しましょう」

重吉は盃をみつめた。

「あの二人からみれば、おれなんぞはぶまで、どじで、気のきかねえ唐変木にみえるだろう、けれどもおれはおれだ、女房にゃあ済まねえが、おらあ職人の意地だけは守りてえ、自分をだまくらかして、ただ金のためにするような仕事はおれにゃあできねえ」重吉はまたぐらっと頭を垂れた、「――それを、あの金六町はいやあがった。新助のやつはいやあがった。火鉢は火鉢だって、ひばちは、ひばち……」

そして重吉は泣きだした。終りの言葉はつきあげる嗚咽に消され、垂れた頭が上下に、うなずくように揺れた。喜助は当惑し、なにか云おうとしたが、いそいで三杯、手酌であおった。

「おらあ、くやしかった」と重吉は盃を持ったままの手で、眼のまわりを拭いた、「向うが向うだからしようがねえ、向うはもう職人じゃねえんだから、職人の足を洗った人間に職人の意地を云ってもしようがねえ、おらあ、黙ってた、黙ってたが、くやしかったぜ、わかるか」

「わかりますとも、よくわかりますよ」

「おめえはいい人間だ」と重吉は眼をあげて相手を見た、「――誰だっけ」