Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
Lisez つゆのあとさき de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 74 725 caractères · 148 écrans
君江はまるで落語家か芸人などと遊んだような気がして、俄に興が覚め、折角きょう一日夢を見ていたような心持はもう消え失せてしまった。折からたっぷり日が暮れると共に、今のところ何の当もない今夜一晩の事が急に物さびしく思われて来た。女一人では待合にもいられないので、木村の飲み食した勘定を仕払って外へ出ると、横町は丁度座敷へ出て行く芸者の行来の一番急しい時分。今頃おくれてカッフェーへも行かれない、といって、家へ帰っても仕様がないので、思出すまま桐花家の京葉をたずねて見ようと、四角を曲りかけた時、向から座敷着の褄を取り、赤い襦袢の裾を夕風に翻しながら来かかる一人の芸者。見れば京葉である。
「君ちゃん。これから銀座?」
「もう晩くなったから休もうと思ってるの。」
「あなた。千代田家さんにいたんじゃないの。」
「あら。どうして知ってるの。」
「どうしてじゃないことよ。君ちゃん。あすこはいけないよ。昨夜わたし清岡先生にもお目にかかったのよ。」
「あら。そう。」と君江もさすがに目をみはった。
「ゆうべ、宵の中に野田家さんでお目にかかったのよ。三、四人お連があったわ。わたしは後口で廻って行ったもんだから、ちょっとお目にかかったばっかりなのよ。