Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

つゆのあとさき

つゆのあとさき

永井 荷風

Lisez つゆのあとさき de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 74 725 caractères · 148 écrans

Aozora Bunko

清岡がこの貸間へ来るのは、いつも君江がその翌日五時出の晩番に当る前の夜にきまっている。それも大抵カッフェーにいる間から予め知れていることで、今日のような早出の朝、不意に尋ねて来ることは滅多にない。君江は昨夜のことが知れたのではないか。それにしては知れ方が早過ると、心の中では随分あわてながら、何喰わぬ顔で勢好く、

「お早いことねえ。まだ散らかしたまんまなのよ。」と梯子段を降りて行くと、清岡は丁度靴をぬいで上ったばかり。戸口を掃いていた小母さんも抜目のない狸婆と見えて、

「君江さん。おいやでも、もう一度おばさんの薬を上ってお出かけなさいましよ。昨夜はほんとにびっくりしました。」

君江はそれに力を得て、「もう大丈夫よ。きっと食合せがわるかったのねえ。」

「どうかしたのか。お腹でも下したのか。」と言いながら清岡は二階へ上って、窓へ腰をかけた。

二階は六畳に三畳の二間つづきであるが、前桐の安箪笥と化粧鏡と盆に載せた茶器の外には殆何にもない。箪笥の上にも何一ツこまごました物も載せられていないので、二階中はいかにもがらんとして古畳と鼠壁のよごれが一際目に立つばかり。