Classiques japonais avec furigana
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ととやぜんたん
とと屋禅譚
岡本 かの子
Lisez とと屋禅譚 (ととやぜんたん) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 874 caractères · 12 écrans
国太郎はまたどうかしてこの教育ある令嬢出のおかみさんの尊敬を贏ち得るような夫になろうと苦心した。
努めて下町のおかみさんになろうとする梅子は少しの悪びれたところも見せず「交際なら」と国太郎を遊里に出してやるようにする。国太郎も、官吏のお嬢さんを貰って側にばかりへばり付いて居るという非難を河岸の者から聴き度くない為め、精々交際は欠かさないようにする。そして、どこの里にも馴染という女の一人や二人はある。だがそれが何だ。子供の時から父親に連れられて出入りした遊びの巷に、今更パッショネートなものを見出すべくも無い。寧ろ梅子の側に居る時くらい歓びを感じるときは無い。それでいて梅子とは何一つしみじみした話をすることも無いのだ。ただ世間でお雛さまのようと言われる美しい夫婦の顔を向き合って菓子位つまむだけだ。ここにも小笹屋の若旦那の大ふうが付き纏うのか。話をしたいのは山々だが、心からの言葉はつい自分の無教育をも暴露しそうな懸念があるので連れ添う妻に向ってさえ愛情が素直に口に出ないのだ。性情に被りついて仕舞った何という伝統の厚い皮だ。
――ちょっと伺いますが、吉原では何という遊女屋が有名ですか」