Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

どぶろくげんそう

どぶろく幻想

豊島 与志雄

Lisez どぶろく幻想 (どぶろくげんそう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 452 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

高い煙筒や壊れかけたコンクリート塀などが残っていた。もうだいぶ夜更けなのだろう。通行人も見当らなかった。

雑草の中にわけ入り、腰を下して、煙草を吸い、方向を考え、そして……何をしていたやら。

淡い月がいつのまにか出ていた。

見覚えのある女の顔が、俺の方を覗きこんだ。見覚えはあるが、どこの誰だか分らなかった。淡緑のセーターを着て、青いズボンをはいている。

「野島さん……。」

秋の夜気が身にしみて、へんにぞっとし、そして初めて分った。なあんだ、周伍文のおかみさん、千代乃さんじゃないか。

「こんなところで……どうなすったの。」

立ち上ったが、躓きかけた。

「道がすっかり分らなくなった。」

「いらっしゃい。こちらですよ。」

歩きだして、はっきりした。周伍文の店の近くなのだ。

表の戸は半分しまり、半分だけ開いていた。つかつかとはいってゆくと、そこの土間には客はなく、奥の小部屋で、周さんとも一人、差し向いで飲んでいた。

周伍文のこの店はありふれた小さな居酒屋で、おでん、焼酎、安物のウイスキー、などが並んでいた。だが、置台の横手の通路をはいると、奥にまた狭い土間があって、そこでは、懇意なお客が特別なものを味った。