Classiques japonais avec furigana
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ひとごろし
ひとごろし
山本 周五郎
Lisez ひとごろし de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 607 caractères · 45 écrans
「ちょっと待って下さい、ちょっと」と六兵衛は云った、「あなたは本当に、そこで自害なさるつもりですか」
「そうだ」と昂軒が答えて云った、「――それとも、おまえがおれと勝負をするかだ」
六兵衛は首を振り、手を振った。
「そうだろう」昂軒は頷いた、「そうだとすれば、おれはもう割腹するほかに手はない、おまえたちが交代でどこまでもついて来て、隙もなく人殺し人殺しと叫ばれ、めしもろくさま食えないような旅を続けるより、思いきって自害するほうがよっぽど安楽だからな」
ちょっと待って下さい、と云って六兵衛はおようを振り返り、それからまた、「ちょっと待って下さい」と昂軒に云い、顎へ手をやって首を捻り、また頸のうしろを掻いたりした。
「では、こうしましょう」と六兵衛は商談をもちかけでもするような口ぶりで云った、「――この気候では、越前まで首を持っていっても腐ってしまう、とすれば、首を持っていってもしようがないし、だからといってなんにも持って帰らないわけにもいかない、そこで相談なんだが」
「生きたまま連れ帰ろうというのか」
六兵衛は首を振った、「そうじゃない、怒られると困るんだが、おまえさんの髻を切ってもらいたいんだ」