Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ふるさとによするさんか
ふるさとに寄する讃歌
Lisez ふるさとに寄する讃歌 (ふるさとによするさんか) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 184 caractères · 13 écrans
私は、煤けほうけた旅籠屋の西日にくすんだ四畳半へ、四五冊の古雑誌と催眠薬の風呂敷包みを投げ落した。
雪国の陰鬱な軒に、あまり明るい空が、無気力や、辛抱強さや、ものうさを、強調した。鉛色の雪空が、街のどの片隅にも潜んでいた。街に浮薄な色情が流れた。三面記事が木綿の盛装をこらして……。私はすでに、エトランジェであった。気候にも、風俗にも、人間にも、そして感情にも。私は、暑気の中に懐手して、めあてなく街を歩いた。額に、窓の開く音が、かすかに、そして爽やかに、絶え間なくきこえていた。その音は、街路樹の睡った、しずかに展ける一つの路を私に暗示した。それは如何なる寂しさにも、私に路を歩ませる力を与えた。私は疑い深い目で、行き交う全ての女を見た。行き過ぎてのち、あれがその人ではないのかと、半ば感情を皮肉るように、私は常に思い込もうとした。私は腹の中で笑った。私は、かたくなに振り向くことを怖れた。全ては偶然であれ。私の悲しみも、私の恋人も(いわば笑うべきインテロゲエションマークである恋人も)、偶然と共に行き過ぎよ。あれがその人ではなかったかと思う追悔によって、おまえの悲しみは玉となる日があるであろう、と。