Classiques japonais avec furigana
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みさごのすし
みさごの鮨
泉 鏡花
Lisez みさごの鮨 (みさごのすし) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 198 caractères · 47 écrans
縁を広く、張出しを深く取った、古風で落着いただけに、十畳へ敷詰めた絨毯の模様も、谷へ落葉を積んだように見えて薄暗い。大きな床の間の三幅対も、濃い霧の中に、山が遥に、船もあり、朦朧として小さな仙人の影が映すばかりで、何の景色だか、これは燈が点いても判然分らなかったくらいである。が、庭は赤土に薄日がさして、塔形の高い石燈籠に、苔の真蒼なさびがある。ここに一樹、思うままの松の枝ぶりが、飛石に影を沈めて、颯と渡る風に静寂な水の響を流す。庭の正面がすぐに切立の崖で、ありのままの雑木林に萩つつじの株、もみじを交ぜて、片隅なる山笹の中を、細く蜿り蜿り自然の大巌を削った径が通じて、高く梢を上った処に、建出しの二階、三階。はなれ家の座敷があって、廊下が桟のように覗かれる。そのあたりからもみじ葉越しに、駒鳥の囀るような、芸妓らしい女の声がしたのであったが――
入交って、歯を染めた、陰気な大年増が襖際へ来て、瓶掛に炭を継いで、茶道具を揃えて銀瓶を掛けた。そこが水屋のように出来ていて、それから大廊下へ出入口に立てたのが件の金屏風。すなわち玄宗と楊貴妃で、銀瓶は可いけれども。