Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もののかげ

ものの影

豊島 与志雄

Lisez ものの影 (もののかげ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 794 caractères · 18 écrans

Aozora Bunko

田中さんは衆人にかこまれながら、燃え上る炭俵を見つめていた。一人の警官が、その手を押えていた。

田中さんは大きな声で叫んだ。

「ここで、何事が起ったか、私は知ってる。」

ちょっと息をついた。

「亡霊の影が出ることも、私は知ってる。」

またちょっと息をついた。

「葦なんか茂らしておくからだ。」

警官をちらと見た。

「警察の怠慢だ。だから私が、葦を焼き捨ててやるのだ。」

彼はあたりをぐるりと見廻した。そして彦一の顔に眼をとめた。

「うむ、丁度よく来たな。あとは君が焼くんだ。」

そして彼は安心したのか、もうけろりとした表情で、警官から導かれるまま、近くの警察派出所へおとなしくついて行った。

数名の人々が後に続き、彦一も一番後からついて行った。

派出所の中で、彼は前と同じようなことを数言怒鳴った。それきりで、もう口を利かなかった。彦一の方は見向きもしなかった。

彼の身内の者らしい若い男と、町内の有力者らしい老人とが、警官にしきりと何やら釈明していた。一通りの調書を取られて、彼はその二人に守られ、先に立ってすたすた歩み去った。

別に危険な狂人というわけではなかったのだ。