Classiques japonais avec furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lisez わが町 (わがまち) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 93 840 caractères · 186 écrans
「そうオ? いったい、なんやの?」
言いながら、次郎のあとに随いて行くと、次郎は四ツ橋の電気科学館の前まで来て、
「ここや」
と、立ち停った。
そこには日本に二つしかないカアル・ツァイスのプラネタリュウム(天象儀)があり、この機械によると、北極から南極まで世界のあらゆる土地のあらゆる時間の空ばかりでなく、過去・現在・未来の空まで居ながらにして眺めることが出来るのだという次郎の説明をききながら、昇降機に乗って、六階で降り「星の劇場」へはいっていった。
円形の場内の真中に歯医者の機械を大きくしたようなプラネタリュウムが据えられ、それを円く囲んで椅子が並んでいる。
腰を掛けると、椅子の背がバネ仕掛けでうしろへそるようになっていた。
「朝日軒の椅子みたいやわ」
君枝が言うと、
「天井に映るんだから、上を見やすいようにしてあるんだよ」
次郎は言い、
「――朝日軒の人みな達者ですか。義枝さん死んだのは知ってるけど……」
「ええ、皆達者です」
「やっぱり皆まだ嫁(かたづ)いてないんですか」
「難儀な家やて、お祖父ちゃんも言うてはります」
君枝はまた他吉のことを想いだした。今頃どこを練り歩いているだろうか。